アイスランド (Iceland)

北大西洋、北緯65°に位置する島国アイスランド。
お隣が面積2,100,086㎢の世界最大の島グリーンランドということで、世界地図 (特にメルカトル図法)で見るとアイスランドはとっても小さな島国にすぎません。といっても、アイスランド島は面積103,000㎢、日本の面積の約3分の1で、世界第18位の島となっています。これはヨーロッパではグレートブリテン島に次ぐ大きさです。
アイスランドは火山、大陸プレートの境界(北大西洋海嶺)上に位置し、地質学的には大変新しい国です。それに比べてグリーンランドは地球でも古い地質となっています。何かとグリーンランドと比較されますがそれもまた地球の面白さです。

旅行者向けにアイスランドを大まかに地域区分すると

1.レイキャヴィーク近郊 (Reykjavík Capital Area)
2.レイキャネス (Reykjanes)
7.南アイスランド (South Iceland)
3.西アイスランド (West Iceland)
4.ウェストフィヨルド (Vesturfjörður)
5.北アイスランド (North Iceland)
6.東アイスランド (East Iceland)
8.内陸部 High land

氷河 (Glacier)

アイスランドの氷河

最近の温暖化による縮小も見られますが、アイスランド国土の約10%が氷河によって覆われています。アイスランド最大の氷河はアイスランド南東にあるヴァトナ氷河(Vatnajökull)で、面積が約8,100㎢(単純に100x81km)となっています。日本で言えば、兵庫県(約8,400㎢)とほぼ同じ、または日本最大の湖、琵琶湖(約670㎢)の12倍となります。アイスランド各地に大小様々な氷河があり、美し景色を作り出しています。今から1,000年以上前に降り積もった雪が氷河となり、いま私たちの目の前に姿を見せているのです。ヨークルスアゥルロゥン(Jökulsárlón)などでは圧縮された氷河の一部を手に取ってみることができます。長い年月を経て形成された氷河は下ってくるにつれ、細かく分かれ(川とは正反対)それぞれ違う名前がづけられます。南東アイスランドのヨークルスアゥルロゥンでは湖面に浮かぶ氷山も見ることができます。
アイスランドの氷河の表面をじっくり観察すると、黒または灰色に薄汚れて見えますが、これは火山灰や内陸部の砂埃などが吹き飛ばされ、氷河内部に閉じ込められたものです。氷河の下に存在している火山が幾つもあり、噴火により大規模な氷河土石流(Jökulshraup)を幾度となく引き起こしています。

氷河と万年雪の違い
読んで字のごとく、氷河は河のように移動する必要があります。氷河はそれ自体の厚さによる圧力や標高差や重力によって少しづつではあっても移動していますが、万年雪は移動しません。

自然 (Nature)

地質
アイスランド大部分を占めるのが玄武岩で、アイスランド各地で目にすることができます。アイスランドは大陸プレートが形成される場所と言われる大西洋中央海嶺の上に位置し、大陸プレートの境界線を地上部分で見ることができます。とりわけ、シンクヴェトリル(Þingvellir)やレイキャネス(Reykjanes)では裂け目、ギャゥ(gjá)を顕著にみることができますが、一つの裂け目が東西大陸プレートの完全に分かれ目になっているわけではありません。移動速度も年間数cmで拡大していると言われているが、あくまでも平均なので絶対値でありません。どうしても移動速を確認したいのであれば100年、200年単位でアイスランドを観測することが必要です。
アイスランドは今なお火山活動が活発で島の北部を上に見立てると火山帯が逆Y字の形で島を縦断しています。かつかざん、死火山を含めアイスランドにはヘクラ(Hekla)、ラキ(Laki)、スナイフェル(Snæfell)などの有名な火山があります。火山活動の際に流れ出てきた溶岩がゆっくりと冷却された際に形成された柱状、板状、放射状節理と呼ばれる地形を至るところで見ることができます。これは地表に出てきたマグマがゆっくりと冷却され、収縮する際に含んでいる化学組成によって形成されたものです。

火山
ヘクラ、ラキを始め世界的に有名な火山が幾つもあり、また周辺には火山噴火によって形成された溶岩台地が広がっています。地質図を購入すると大まかな噴火の年代などが記されています。しばらく活動していない火山もありますが、アイスランドでは平均して4、5年に一度火山噴火が起きています。アイスランドが火山帯の上に位置していることを決して忘れてはいけません。何らかな危険兆候が報告されると自治体、警察を通し規制される場合があります。その際には指示に従ってください。火山噴火に伴う土石流の危険なども考えられます。興味本位での行動は当局にとって迷惑以外の何物でもありません。


アイスランドの河は2種類に分けることができます。1つは湧水で透き通ったもの、もう1つは氷河を水源とする濁った水です。

森林
他の国と比較するならば森らしい森と言うものは存在しないと言えます。あえて言うならばソゥスモルク(Þórsmörk)、ハットルオルムススタジール(Hallormsstaðir)、ミィヴァトン(Mývatn)周辺に森らしいものがが存在していますが、厳しい気候などにより、木が生い茂った森と言う感じはしません。どちらかと言えば灌木のようなものが生えているといった具合です。「アイスランドの森で迷ったならば背伸びをすればいい。」と言われるほどアイスランドの木は低いのです。そのようなわけで政府も植林運動などを推進しています。

動物
氷河期以降アイスランドに棲息しているホッキョクギツネや1930年代に人によって持ち込まれれ、野生化したミンクなどの小型動物を時折見かけます。家畜として飼育されているウシ、ウマ、ヒツジを除けば大型野生獣はほとんどいません。アイスランド東部へ行くとノルウェーから持ち込まれたレインディアー(トナカイの一種)が棲息しています。極まれにではありますが、泳いできたのか、それとも流氷と共に漂着したのかホッキョクグマ (白クマ)が出没することがあります。
鳥は豊富でキョクアジサシやパフィンなどの渡り鳥だけなく、ワシ、ハクチョウ、ライチョウ、フクロウなどが棲息しています。