アイスランドの産業 (Industry in Iceland)

人口360,000人と決して大きな市場ではありませんが、様々な産業が発展しています。2008年のクローナ暴落以前は一人当たりのGDPでも世界の上位に食い込んでいました。四方を大西洋に囲まれているアイスランドの基本産業は漁業です。アイスランドの排他的経済水域となっている200カイリ内に豊富な漁場を持つことから、今なお主要産業としての役割を果たしています。漁だけでなく、漁業を中心とした裾野の広い産業となっています。とはいえ、地球温暖化による影響なのか、近年は漁場の移動などもあり、これから厳しくなりそうである。またEU諸国をはじめ他国との交渉で避けられないのが漁業権であることは間違いありません。しかし、時代の移り変わりとともにアイスランドの産業形態も変化してきています。2008年までは金融立国を目指していましたが、クローナの暴落により頓挫しました。天然資源の存在、市場の大きさ、立地条件など故に大きな重化学工業は発達していませんが、安い電力を利用したアルミニウム製錬が貿易輸出額に占める割合も大きくなり、貿易額では漁業を上回っています。最近は遺伝子工学やジェネッリック医薬品といった分野でも発展が見られています。北大西洋に位置することから、アイスランドの自然を楽しみに来る欧米の旅行客を中心に旅行業も成長産業となっています。

漁業
北大西洋上に位置するアイスランドは近海によい漁場を持ち、ニシン、タラ、サバ、サケなどが水揚げされています。
2019年の日本への輸出額は49tで6,700万クローナです。

ソルスクル273,039タイセイヨウナマズ9,190
ニシン137,936サケ3,221
サバ128,084エビ2,919
ウフシ64,698アンコウ508
イーサ57,918ロブスター258
メヌケ53,5272019年の水揚 (t) 

農業
牧羊を中心として行われています。羊は50万頭近く、乳牛が26,000頭、馬も72,000頭程飼育されています。夏には放牧された羊が至る所で草を食んでいる様子を目にすることができますが、秋口になると集められます。
近年、温室栽培によるトマト、キュウリ、マッシュルームなどの野菜が栽培されていますが、露地物ではニンジン、ジャガイモなどと限られています。穀物はほとんどを輸入に頼っています。果物もベリー類を採取することができますがそれ以外は輸入となっています。

旅行業
ほとんど手のつけられていないアイスランドの魅力的な大自然が人気となっています。2009年には50万人もの観光客がアイスランドを訪れていますが、2019年にはほぼ200万人にまで増えています。これからも観光客が増加していくのはほぼ間違いないと見られています。
アイスランドを訪れる日本人も増加し、2003年は4千人程でしたが、2016年以降は毎年2万人前後の日本人がアイスランドを訪れています。
ここ数年は旅行業を活性化させるために、インフラ、サービス面での投資が行われています。

工業
豊富な水と地熱により安定した電力を安く供給でき、電力の70%が水力、26%が地熱発電によって賄われています。
一般への電力が1kwhあたり8.1 krとなっています。(2020年9月)
大口需要による契約もあり、安い電力を利用したアルミニウムの精錬が行われています。
日本の電力料金は(2020年9月)従量電灯A 15kwhまで 341円05銭 以後1kwh 20円32銭~

株価
2008年までは株価も高く取引もあったが、現在株取引はそれほど活発ではありません。

その他の産業
遺伝子工学をあつかった会社や後発医薬品(ジェネリック)会社、人工四肢設計加工会社などが業績を伸ばしています。それに加え、地熱発電関連技術を他国へ供給することも行っています。家庭内工業と言えるものとしては手編みの羊毛製品などがあります。

アイスランドの文化 (Icelandic Culture)

北欧の一国として他のスカンジナビア国に似た文化を持っています。スポーツではサッカー、ハンドボールなどが盛んで、ハンドボールは世界でも有数の強豪国で2008年の北京五輪では銀メダル、欧州選手権でも度々上位に食い込んでいます。サッカーも2016年の欧州選手権、2018年ワールドカップ本大会に出場し、益々実力を上げています。
音楽にも関心が高く、アイスランドには交響楽団もあります。アイスランドエアーウェイブス、ジャズフェスティバルをはじめとした音楽関係のイベントも多く開催されています。また、毎年行われるユーロビジョンコンテストは大きな話題となっています。
映画館も比較的多く米国の映画を中心に上映されています。上映作品によっては日本よりも早く上映されている場合もあります。日本との違いは1時間ぐらいすると休憩が入ることです。